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「異世界アリス」について、いち視聴者目線からの解説

まぁクッキー動画なわけだけど、一応中身はクッキーそのものではない。投稿者名が蓮奈理緒だし、前作でNYNの真似とかやりまくってるし、養殖クッキーじゃないはずないんだけれどもクッキーそのものではない。

この動画、とにかくいろいろ凄いことになってるんだけれども、普通に見てると意味不明でしかない。実際、投稿から12時間で600程度しか再生されていないし酷評コメがついてる。だが正直、これ東方二次創作の中でも相当凄い部類なのでは?って思ってきたので、とりあえず意味不明にしかとれないであろうシーンや、東方としての意味を、僕が思うところかいておきたい

以下ネタバレ全開なので、まだ見てない人は一回みてから見てね

そもそも終盤のあれは何?

終盤のシーン、つまり魔理沙に食べられて以降が意味不明だと感じる人が大多数だろう。大多数というほど見てるかはともかく。しかし実は結構考えられている(と、僕は思う)。

まず魔理沙との問答は、これほどの悲劇を産んだ原因がアリスと魔理沙のささいな行き違いにあったということを示すシーンだった。魔理沙は霊夢が好きだろうから、アリスは魔理沙に対して正直な態度をとることがなかった。

魔理沙「そういう素直にならないところが、私を魔法使いにしたんだ」

この台詞、東方の設定をしっていないとよくわからないだろうというか、東方知ってても聞き逃しそうだが、東方において魔法使いというのは「魔法を使える能力者」という意味と、「種族としての魔法使い(実質妖怪」の二通りがある。当然、ここで言ってるのは後者の魔法使いという種族のことで、魔理沙はアリスの態度のせいで人間を捨ててしまったことが示唆されている。鈴奈庵以降、人間を辞めて他種族(妖怪)になるというのは最大の禁忌であることが東方の設定上明かされているので、魔理沙は相当追い詰められていたことになる。

だからアリスは「人間を捨ててまで霊夢を超えようとしたのね」といい、「私のせいでああなった/あなたにとってそこまで大きなものになれたのね」と、自分のせいで魔理沙が人間を捨てることを選んだことに気づいた。

そこからアリスは「霊夢には勝てない」だの、「魔理沙には勝ちたい」だの意味のわからないことを言いだし始めるわけだけど

霊夢は誰とでも仲良くなれるし、誰とでも敵になる
いくら本気を出しても必ずまける
それでも
魔理沙には勝ちたい

これは実は相当迂遠な論理の話のように思う。「魔理沙は霊夢が好き」だろうとアリスは考えていたので、魔理沙に対して素直な感情をぶつけることはなかった。アリスは霊夢に勝てるはずがないと考えていたわけだ。しかし実際はそうではなく、魔理沙はアリスを追いかけて魔法使いになる道を選んでしまい、幻想郷の運命を負ってしまった。それによって、魔族の賢者となった魔理沙は、この世界に恐怖を与える魔王と化してしまった。アリスが勝ちたいと言っているのは魔理沙本人ではなく、魔理沙が背負ってしまった運命に対してじゃないだろうか。

じゃあ、魔理沙の運命に勝つって何よ?ってなわけで、唐突にロボット大戦が始まる。意味不明の極地ここに極まれりだし、正直なところ伏線が示されてたかといえば微妙なので納得しづらいかもしれないが、つまりこういうことだ。

そもそも妖怪が失われ魔族が生まれた原因は、人が恐怖を失ってしまったからだ。魔理沙は人々に恐怖を与えるために魔王になった。

お前の知る妖怪たちが昔そうしていたように
今ここにいる魔族もそうしないと生きていけない
魔族と妖怪は同じだ
地球人たちは恐怖を克服してしまった
今妖怪達は恐竜とおんなじなんだぜ?
見ての通り、恐怖を失った彼らがここを見つければ我々は死に絶えるしかない

東方の設定では、妖怪や神などの幻想を信じなくなったことによって存在が失われつつあったものたちの隠れ家が幻想郷ということになっている。なので、恐怖が失われると魔族は失われる。魔理沙は恐怖を与える存在にならないといけない。だがアリスはその道を望んでいないし、魔理沙のその使命に打ち勝たなければいけない。どうするか。

人間を恐怖から解放したものを破壊するってことだ。人間に安全を与えたもの、それは機械であった。だからアリスは魔族を殺している機械と戦いはじめるわけだ。

しかしその夢は、天からやってきた霊夢を模した機械に潰されてしまう。だから、霊夢には絶対に勝てないという予想はその通りに実を結んで破滅してしまうわけだ。

正直このあたりは僕もよくわからない。なんで桃みたいなのが急にふってきたのか?なんでそこに霊夢を模したロボットが入ってるのか?なんでアリスのロボットと戦ってるのか?

予想するには、霊夢が人間の力の象徴的存在になっていて、霊夢自体を本当に意識して作られたかどうかはともかく、勇者(実際には人間の安全を脅かすもの=アリス)が目覚めるのと同時に迎撃するために送られてきたとかそんななのかもしれないけれど、まぁここら辺は明確に説明不足も甚だしいので想像するしかない。アリスが相打ちしながら「やっぱり私は人間の仲間になりたかったのね」は、本当の意味では魔族の味方に徹しきれない(だから負けた)自分を笑っているのかもしれない。

しかししかし、「人間の技術が幻想と恐怖を討ち滅ぼした結果、過激な恐怖地域を作ることで生き延びようとする」のはテロの論理で実は現代的な気もするし、「共存のために技術を滅ぼす」ってのはなんだか富野イズムというかターンエーガンダムみたいですごい僕は好きだし、「個人的な怒りから、そして世界を理想に戻すために戦うが、結局は圧倒的な力の前になすすべなく破れる」のはなんだかデビルマンの終盤みたいでこれまた僕は嫌いじゃない。

しかも結構、東方の原作設定を踏まえてる。

実は東方の原作設定を踏まえてるように思える点

まずアリス・魔理沙以外の主要登場人物は基本みんな死んでいるわけだけど、この死んでいる三人は全員ほんらいなら蓬莱人というのがなんだか狙ってるような気がする。さらに言えば輝夜が裏切るというのも、元の設定からして輝夜は自分の暮らしに嫌気がさして月を裏切ることを決めた張本人であることだし、妹紅らしき兄が輝夜を兄妹の枠を超えた性愛を持っていたって話も、元の妹紅と輝夜の犬猿の仲と逆転させている気がする。

妖怪であるアリスが人間の味方をして、人間である魔理沙が妖怪、魔族側の味方をするという時点で全て実は反転した世界として構築されている。それは「夢の世界」だからだろう。

もし東方の夢設定をひっぱっているとしたら、これらは「彼らが望んでいたこと」ではないかと思う。永遠の命をもつ蓬莱人は死を望み、妹紅は輝夜と本当は親しく思っていたし(愛してるまでは言い過ぎにしても輝夜を嫌っていないことが二次設定とも限らないのは、儚月の小説版でわかる)、輝夜は自分を狭い貴族の暮らしに押しつけていた一族と世界を憎み復讐を遂げたかったともとれる。

そして人間をやめたが人間を親しく思っていたアリスは人の味方になり、心の底で超人的なものを求めていた魔理沙は魔族の賢者になった。

わりと、整合しているし、たぶんここまで真剣に原作設定を考えてキャラクターのモチベーションを作ってる人、現実的には東方の二次創作界隈でも相当少ないのでは?

だから嫌いになれるわけがない

もちろんここで描いたことをどの程度作者が意識してたかはわからないし、何より普通に見る限りには意味不明だし、絵は絵コンテ状態だし、蓬莱人の演技は普通にクッキーレベルだし、明らかにいいように妄想しすぎだろと言われたら否定はできない。でもそれ以外の細かい演出も実はよくできてる。

序盤にエーリンの襲撃によって魔王たちの馬車が横転し、隙を見てヨーテルが脱走する。このとき魔王が「馬鹿め」といってるのは、初見では「くだらないことをしやがって」みたいな怒りの声にみえるけど、二周目だと「まんまとひっかかりやがって」という意味だとわかる。

ヨーテルが「アリス殿の国では魔法は平和に扱われていたのですね、そういう考えだったら魔族も生まれることもなかったでしょうね」という台詞も、魔法が忌み嫌われた力だからという意味に一周目はとれるが、二周目でみなおすと「そもそも恐怖で支配する必要がなければ魔族は生まれなかった」という意味だとわかる。

最近の異世界転生ものを意識したような作りをもってきながら、アリスが外の力で無双する話でもまったくなく、むしろ能力だけで言えば制限がかかっている。よく考えれば筋が通っていて、科学の力で恐怖が抑圧され、魔力も幻想や恐怖が失われたことで力を失った世界なのだから、アリスが同じような力に落ちているのも当然だしちゃんとしている。そしてアリスは何か特別な能力や道具で特別扱いなわけではなく(聖剣も軽いマクガフィン以上の意味はもっていない)、魔理沙によって呼び込まれたから生き残っただけで、アリスそのものは一人の元魔法使いとして苦戦し、苦悩し、矛盾に抵抗しながら立ち向かってる。

序盤に説明台詞をくどくど並べず、何か大事が起こっているらしいという見せ方で導入するのも、定番といえば定番かもしれないがちゃんとしてるし、ヨーテルのすぐそばで王子が殺されるシーンなど伏線がちりばめられてる。よくできてる。

うーん、やっぱよくできてると思うんだよねこれ。

「異世界アリス」について、いち視聴者目線からの解説」への2件のフィードバック

  1. ・・・二次創作に対してまるで親の仇のごとく暴れて他作品にまで迷惑かけるってのもおかしな話ですね。

    1. 何の話でしょうか?

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